豚まんで有名な「551蓬莱」(大阪市)の社員だった男性(当時26歳)が自殺した事件で遺族が労災と認めなかった国に対し、決定取り消しを求めて提訴しました。
11月22日に大阪地裁で第1回口頭弁論があり、国側は請求棄却を求めています。
今回の事件について調べてみました
訴状内容
自殺したのは蓬莱本社大阪市の社員だった26歳男性。
訴状によると、男性は2015年3月に入社し、通信販売の電話受け付けを担当。
冬になると注文が増え、時間外労働が月100時間程度になることもあった。
チルド商品の注文やクレームの電話に対応し、客から「死ね」「バカ」などと罵声を浴びせられることもあった。
客からのクレームに対応するうちに睡眠障害となり、16年4月ごろには適応障害を発病し、休職したが改善せずに18年6月、自宅で自殺した。
遺族は労災申請したが、大阪中央労働基準監督署は21年3月「心理的負荷は強くなかったとして」遺族補償などを不支給とする決定をした。
自殺の原因はカスタマーハラスメントや長時間労働
自殺の原因はカスタマーハラスメントや長時間労働
会社の業務日報には、男性が受けたとされるクレームの内容が記されていました。
それによると、注文者から「届け先の電話番号が分からない」と電話があり、「何かあったら注文者に連絡する」と伝えたところ、「昼間は電話なんて出られない」と怒られ、「回りくどい説明しやがってボケ。上の者出せ」とまくし立てられる
▽配送先が決まっていないが購入したいという客から問い合わせがあり、システム上は対応できないと答えると、「もう購入するなって言いたいんですか」と激怒され、一方的に電話を切られる――といった出来事があったという。
男性が受けたとされるカスハラの図解(訴状による)
自殺した男性の遺族は「客から人格を否定するような理不尽なクレームを受けるカスタマーハラスメント(カスハラ)や、残業が月100時間程度になることもあった長時間労働が原因でうつ病を発症して自殺に至った」と主張しています。
遺族は会社の対応を批判
遺族側によると職場の電話機は当時、通話内容を録音できず、かかってきた電話の番号を表示する「ナンバーディスプレー機能」もなかったという。
男性は母親に「(客から電話の)録音を聞き直せって言われても『録音がない』と説明するとまた怒られるからしんどい」と話していた。
遺族側は「迷惑行為から従業員を守る設備がなかった」と会社の対応を批判する。
22年はカスハラで労災認定6人
厚生労働省によると、顧客や取引先からのクレームが原因で精神障害を発症したと労災認定された人は22年度に6人おり、うち2人は自殺している。
ネットの声
電話での対応になると顔が見えない為か「自分は客だ」と横柄になったり威圧的な態度になってしまうのでしょうか。
通話の録音機能など、会社で必要な対策は義務として務めて欲しいと思います。
まとめ
厚生労働省は2023年9月1日付で精神障害の労災認定基準にカスハラを追加「心理的負荷による精神障害の認定基準」を改正しました。
具体的出来事として「顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた」(いわゆるカスタマーハラスメント)が加えられました。
「お客様は神様」という言葉がある一方、顧客からの不適切な行為や言動(カスタマーハラスメント)が社会問題として注目されています。
今後も増加するカスハラ問題に対策・解決の道が示せるように、この度の事件が労災認定となることを願います。